ガンプラの基本工作を解説!EGガンダムを作る-ゲート跡処理/合わせ目消し/表面処理
「基本工作」という言葉を聞いたことはありますか。
基本工作とは、合わせ目消し・ゲート跡処理・平面出しなど、ガンプラ製作おいて完成度を高める目的で行う工作を指します。
「基本」というとカンタンそうに聞こえますが、その種類は多く、なかには難しいものもあったりします。
そこで今回は、エントリーグレード(EG)のガンダムを使って、基本工作のやり方を解説をしていこう思います。
- 基本工作の必要性
- 合わせ目消しのやり方
- ゲート跡処理のやり方
- パーティングラインの消し方
- 平面の出し方
- アンテナの尖らせ方
安価で少ないパーツ数ながら完璧に近い色分けと、高い可動性を両立したのがEGガンダムで、このキットに基本工作をしていきます。
▲筆者も遅ればせながらEGガンダムを入手したので、最終的にアクリジョンの筆塗り全塗装で仕上げてみることにしました。
【シリーズ記事】EGガンダムを作る!
このキットはタッチゲートが採用されており、ニッパーを使わず手でパーツを取ることができるとのこと。
さっそく箱を開けて組んでみましょう。
パチパチパチと組み立てて、ものの30分でガンダムができあがりました。
このまま塗装をしても良いのですが、よく見るといくつか「気になるポイント」がありました。
今回はその気になるポイントを処理し、完成度を上げていきます。
1.気になるポイントの確認
気になるポイントは6つあります。こちらです。
1-1.合わせ目
脚部の前後中央に合わせ目が出ます。
合わせ目とは、パーツ同士をはめ合わせた境目のことです。見ばえが悪いので、目立つ場所に出るものは処理したいところです。
■処理方法:合わせ目消し
■用意するもの:
・パーツオープナー
・スチロール樹脂系接着剤
・デザインナイフ
・スポンジヤスリ
1-2.ゲート跡
ゲート跡とは、パーツを切り離した際に残るゲート※の跡で、タッチゲート採用の本機キットでも残ります。
※ゲート … ランナーとパーツをつなぐ部分
目立つので丁寧にすべて処理します。
■処理方法:ゲート跡処理
■用意するもの:
・金属ヤスリ or デザインナイフ
※人によってやり方は様々です。
1-3.パーティングライン
パーツ成形に用いる金型の合わせ目がパーティングラインです。一体成型や丸みを帯びたパーツに多く見られます。
デザインに関係がないものなので、キレイに消したいところです。
■処理方法:パーティングライン消し
■用意するもの:
・デザインナイフ
・金属ヤスリ
・スポンジヤスリ
1-4.パーツのでっぱり・へこみ
一見平面に見えるパーツでも、実は緩やかに凹んだり反り返ったりしている部分があります。
これは、パーツ成形の際にプラスチック樹脂が冷え固まり収縮することで発生するもので、場所よっては目立つ場合があります。
■処理方法:平面出し
■用意するもの:
・金属ヤスリ or あて木+紙ヤスリ
・スポンジヤスリ
1-5.ウェルドライン
ウェルドラインはパーツの成形時、複数の方向からプラスチック樹脂が合流してできる模様で、シールドなど大きなパーツで目につきます。
塗装すると隠れますが、無塗装の場合は工作で処理しておきたいところです。
■処理方法:ヤスリがけ
■用意するもの:
・金属ヤスリ
・スポンジヤスリ
1-6.安全基準フラッグ
ガンダム系キットのアンテナには安全基準フラッグと呼ばれる突起が付いています。
ケガ防止のためのものですが、デザイン上は存在しないので切り取るのが良いでしょう。
頬にパーティングラインも見えるので、あわせて処理します。
■処理方法:アンテナのシャープ化
■用意するもの:
・ニッパー
・金属ヤスリ
2.基本工作をしていこう
前述した気になるポイントを処理していきます。
これらの処理は、作品の完成度を上げる基本的の工作で、基本工作と呼ばれています。
やっておくこと、完成した作品のできばえが格段に良くなります。
2-1.合わせ目消し
パーツ同士をスチロール樹脂製の着剤で圧着して「合わせ目」を見えなくします。
▲脚部前面中央のパックリ目立つ合わせ目を処理していきます。
▲スチロール樹脂系の接着剤(タミヤセメント)でパーツを接着します。今回は粘度の高い白いフタのものを使います。
▲接着したいパーツをバラします。専用ツールの「パーツオープナー」が便利です。
▲合わせ目に金属の部分を差し込み、やさしく動かします。強引に外そうとするとパーツがえぐれるので注意です。
▲パーツがバラせたので、タミヤセメントを塗っていきます。
▲蓋に付いているハケでパーツに塗っていきます。フチにちょんちょんと置くイメージです。
▲反対側のパーツにも、おなじ要領で接着剤を塗っていきます。
▲接着剤を塗り終えたらパーツをはめ合わせ、指で圧着します。写真のように接着剤がムニュっと出たら成功です。
▲圧着した後は固まるまで置いておきます。硬化に時間がかかるので、丸1日置いた方が良いでしょう。
▲1日たって固まりました。はみ出た接着剤を削っていきます。
▲この合わせ目は曲面にあるので棒状の金属ヤスリでは削れません。デザインナイフの背中で削っていきます。
▲刃の背中を使い、盛り上がった接着剤を削り取ります。
▼白いフタのタミヤセメントはこちら!粘度が高いベーシックタイプです。
2-2.ゲート跡処理
▲腹部の赤いパーツにあるゲート跡を処理していきます。少し削りづらい位置にありますね。
▲面と水平にヤスリを当て、矢印の方向にやさしく押します。角度を間違えると、えぐれてエッジの形が変わってしまうので注意です。
▲ゲート跡は削れてなくなりましたが、跡が白く残ってしまいました。これを「白化」と呼びます。
▲続いてこちらの白パーツのゲート跡。先ほどの赤いパーツよりは処理しやすい場所です。
▲ヤスリを切削面に対し水平に当て、ゆっくり矢印の方向に押します。
▲ゲート跡がキレイになりました。パーツが白いので、跡が白く残っているかはわかりません。
筆者はタミヤのクラフトヤスリPro(10mm幅)を使っています。
良く削れてとても使いやすいです!
白化を防ぐには
赤いパーツのゲート跡は白く残ってしまいました。(白化と言います)
詳しい原理は割愛しますが、プラスチックは圧力がかかった場所が白くなります。
タッチゲートはニッパーを使わずパーツを取り外せるのがウリですが、手で取り外すとゲートが引っ張られ白化するので、ニッパーの使用をおススメします。
- タッチゲートでもニッパーを使う
- ニッパーで切る際は「2度切り」をする
「2度切り」とは、ゲートを少し残すようにパーツを切り出し、残ったゲートを再度ニッパーで切るやり方です。
1度切りよりゲートにかかる圧力が少なく、白化しにくいと言われています。
筆者は面倒なので2度切りはしていません。
白化しても塗装で隠れるので、塗装派の方は1度切りで良いでしょう。
えぐれなければ、どうということはない!
ゲート跡処理の詳細は次の記事に纏めています。
2-3.パーティングライン消し
パーティングラインは盛り上がっているので削って処理します。
▲曲面にあるパーティングラインは棒状のヤスリでは削れません。デザインナイフで処理します。
▲デザインナイフの刃の背中部分を使い、パーティングラインを削り落としていきます。
▲ナイフを慎重に動かして削ります。なかなかの量の削りカスが出ます。
▲ある程度削れたら表面をヤスリで整えます。筆者はゴッドハンドの「神ヤス」を使ってます。(400番)
▲頬をヤスリで整えます。力を入れる必要はありません。
▲頬にあったパーティングラインをキレイに消すことができました!
▲こちらは平面にあるパーティングライン。平面なので金属ヤスリで処理できそうです。
▲金属ヤスリを矢印方向にやさしく動かし、表面を削ります。
▲キレイに消せました!曲面に比べて平面は処理がカンタンですね。
▼ヤスリがけなら耐久性が高い神ヤス!が便利。
2-4.平面出し
▲一見平らに見える肩アーマーですが緩やかに凹んでいます。平面を出していきましょう。
▲削る面に対して水平にヤスリを当て、矢印方向に動かします。ヤスリは「押して」削ります。
▲1回削ると「削れている部分」と「削れていない部分」ができます。これが面が平らでない証拠です。
2-5.ウェルドラインの処理
ウェルドラインは平面が多い大きなパーツで目につきます。
平ウェルドラインを狙って処理するというより、平面出しのためにヤスる中で消えるという感覚で良いでしょう。
▲処理前のパーツです。平面が広くウェルドラインがくっきり見えています。
▲でっぱり・へこみの処理と同様にヤスリで面を均します。金属ヤスリは押して使う道具なので引いてはいけません。
▲削った表面をスポンジヤスリで整えました。キレイに平面が出てウェルドラインも消えています。
ヤスリが粉塵で詰まったら…
パーツを削っているとヤスリに粉塵が付着して「目詰まり」します。
目詰まりすると削り味が悪くなるので、ハケやブラシなどで粉塵を払って目詰まりを解消させます。
▲ヤスリに粉塵が付着し目詰まりしてしまいました。
▲ハケなどでササっと払うと粉塵が取れます。(筆者は100円ショップのものを使用)
▲目詰まりが解消し、削り味が復活しました!
2-6.アンテナのシャープ化
「安全基準フラッグ」を切り落とし、アンテナをシャープにします。
尖らせすぎると危ないので、筆者はホドホドにしています。
▲点線の方向にニッパーの刃を入れ、不自然に飛び出た突起を切り落とします。
▲慎重にニッパーの刃を入れ、フラッグだけを切ります。一発でキレイに切れなくても大丈夫です。
▲片方がうまく切れたら残りのフラッグも切っていきます。ニッパーの刃先を見ながらゆっくり切ります。
▲フラッグが切り落とせました。多少ガタツキが残っているのでヤスリで整えます。
▲今回は金属ヤスリを使います。ヤスリは押して使う道具で、矢印の方向にゆっくり動かします。
▲アンテナがシャープになりました。反対側のアンテナもヤスリがけでして完了です。
3.その他におすすめの工作
3-1.モールドの掘り直し
キットに元からあるモールド(ミゾ)を彫り直しておくと、スミ入れの際にスミがキレイ入ります。
◀特徴的なガンダムのふくらはぎです。彫り直しておくとスミ入れしたときに映えます。
盛り上がった部分に沿ってケガキ針で慎重になぞります。
◀太ももの合わせ目はデザインの一部に見えます。
合わせ目処理は行わず、デザインナイフでパーツのフチを斜めに削り、立体感を出しておきます。
3-2.フロントアーマーの分割
◀腰のフロントアーマーは一体型で左右がつながっています。
真ん中をカットすることで、左右が独立して動くようになります。
4.基本工作が完了
すべての基本工作が終わりました!工作前のものと見比べてみましょう。
すべてのパーツにヤスリをかけたのでツヤがなくなり印象が大きく変わっています。
加えて、合わせ目消しやゲート跡処理のおかげで「手を加えた感じ」が出ています。
まとめ
このように合わせ目やゲート跡などの気になるポイントを処理することで、作品の完成度を高めることができます。
基本工作の良し悪しは、完成時の出来栄えに大きく影響します。
- 力を入れず優しく削る
- こまめにデキを確認する
基本工作のコツはこれだけです。
金属の道具でパーツを削る場合は、削り過ぎなどの失敗を避けるため、力を入れずにやさしく作業します。
また、作業状況はこまめに確認することが大切です。たとえ失敗しても、傷が浅いうちは瞬間接着剤などで簡単にリカバリーできます。
工作方法は人により異なります。ぜひ本記事を参考に自分なりのやり方を見つけてみてくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございます。
それではステキな筆塗りライフを!
▼ゲート跡処理、平面出しにはコレ!
▼一本は持っていたい万能ツール!
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