HGエアリアルに基本工作をしてみよう!ゲート跡処理/合わせ目消し/表面処理
HGガンダムエアリアルをアクリジョンの筆塗り全塗装で仕上げる「ガンダムエアリアルを作る!」シリーズです。
「水星の魔女」キットは2022年に出たガンプラで、組んでみるとその進化に驚かされます。
HG 1/144 ガンダムエアリアル(バンダイ公式)
1,430円 2022年10月01日発売
- 基本工作の必要性
- ゲート跡処理のやり方
- 合わせ目消しのやり方
- 安全基準フラッグの処理方法
使用キットはHGガンダムエアリアルです。筆者はヨドバシカメラで購入しました(1、360円)。
それでは、さっそく組み立ててみましょう。
パチ組したエアリアル
HGでありながら細かいディテールが施され、パーツが複雑に組み合わさった情報量の多いキットです。ちなみにポリキャップは使われていません。
ただ、頭が大きく胴が小さいので、若干ずんぐりとした印象です。
(筆者の撮影がヘタなせいではありますが)
新しいキットなので手を入れる箇所は少なそうな印象ですが、改修が必要なポイントがないか見ていきましょう。
1.改修ポイントの確認
▲パーツ分割が秀逸な頭部。バルカン、頬ダクト、顎、カメラアイのすべてが成形色で色分けされています。頭部はゲート跡を消すだけで良さそうです。
▲と思ったら頭部アンテナに「安全基準フラッグ」といわれる突起が付いていました。デザイン上は存在しないものなので、切り落とてしまいましょう。
▲肩から上腕にかけて凹凸が多く複雑な形状です。スジボリなどの工作なしでも情報量が豊富ですね。
▲腕部の改修ポイントはゲート跡くらいでしょうか。数は多いですが着実に処理しましょう。※後で肩アーマーに小さな合わせ目を見つけました。
▲特徴的な形状の胴体パーツ。複雑ですが印象的で一目でエアリアルとわかる秀逸なデザインです。
▲「インモールド成形」という技術で作られた胸部シェルユニットが輝く胴体。背中のビームサーベルにパーティングラインがあります。
▲ボディ背面にも若干のゲート跡があります。シールによる表現ですが、バックパックにもシェルユニットが輝いています。
▲腰部も宇宙世紀の機体では見ない特徴的な形状です。多少のゲート跡があるので処理しましょう。
▲背面を見るとこちらもゲート跡がちらほら。目立つものもあるので処理が必要です。
▲大きな太ももが印象的な脚部。凹凸が多く複雑な形状です。
▲ヒザ下のパーツに合わせ目が出ています。このキットの数少ない合わせ目のひとつです。
▲裏返してみると、太もも・ふくらはぎの裏に合わせ目がありました。
▲ビームライフルです。宇宙世紀のそれとは形状が全く違います。ビットステイヴを接続し、ロングバレル化することにより、出力ブーストによる高火力化と共に射撃精度が向上するそうです。なんのこっちゃ笑
▲モナカ構造が多いガンプラの武装。さすがに新しいエアリアルといえど、中央に合わせ目が出ています。
▲エスカッシャン。ガンダムでいうファンネルのように分離し複数の「ビットステイヴ」による多目的攻防プラットフォームになるそうです。劇中でもグエル先輩のディランザをバラバラに切り刻んでいました。
▲裏側も複雑な形状です。これを筆塗りするのは面倒大変そうです。
2.基本工作
ここまで確認した改修ポイントを処理していきましょう。
- 安全基準フラッグ
- ゲート跡
- 合わせ目
これらを処理する作業は「基本工作」などと呼ばれるものです。
地味でめんどうですが、完成時の見栄えが格段に良くなるので、ぜひやってみてください。
2-1.安全基準フラッグの処理
安全基準フラッグはケガ防止のために尖ったパーツの先端に設けられた突起です。
多くのガンダム系キットのアンテナパーツにはこの突起が付いており、デザイン上は存在しないものなので切り取ってしまいましょう。
▲フラッグを切り落としやすいよう、頭部からブレードアンテナを取り外します。
▲パーツオープナーという専用ツールでパーツを外します。先端が薄い金属になっており、隙間に差し込み隙間を作ってパーツを外すのです。
▲パーツとパーツの隙間に金属部分を差し込み、やさしく動かします。強引に動かすとパーツがえぐれることがあるのでゆっくり慎重に動かしましょう。
▲ブレードアンテナが外れました。先端の突起を切り落としていきます。
▲ニッパーの刃を点線のように沿わせ、突起部分を切り落としてしまいます。
▲切り落とした後がこちら。必要な部分まで切ってしまわないよう、突起を少し残して切るのがポイントです。
▲残った突起は金属ヤスリで削ります。ヤスリは押して使う道具なので、一方方向に押して削ります。
▲削り終わり、残っていた突起がキレイになくなりました。反対側も同様に処理すれば完了です。
2-2.ゲート跡処理
ゲート跡は、ランナーからパーツを切り離す際に残ったゲート(プラスチック樹脂が流れ込むところ)の跡です。残っていると見栄えが悪くなる厄介者。
ヤスリやデザインナイフを使い、キレイに取り去ってあげます。
▲ゲート跡を処理しやすいよう、対象のパーツを外していきます。
▲外さなくても処理はできますが、ヤスリが干渉したり、誤って必要のない部分を削ったりしないよう、外すのが安全です。
▲パーツのフチの中央にゲート跡が見えます。これを消していきましょう。
▲まずは金属ヤスリで粗く削ってやります。切削面と水平になるようにヤスリを当て、やさしく押します。
▲つづいてデザインナイフの刃の背中でカンナ掛けをし、ヤスリでとり切れなかった突起を削っていきます。
▲ご覧のように、にゲート跡がキレイに処理できました。
2-3.合わせ目消し
合わせ目は組み合わせたパーツ同士の境目で、前面に出るものは目立つので見栄えが悪いです。
処理方法は「接着剤による圧着」と「段落ちモールド化」の二通りがあります。
1)接着剤による圧着
スチロール樹脂系の接着剤でパーツを接着し、合わせ目を消していきます。
接着剤がプラスチックを溶かすので、溶接するようにパーツを接着することができます。
▲肩パーツです。中央にパックリと合わせ目が出ています。これを消していきましょう。
▲接着剤を流し込むための隙間を開けます。合わせ目にパーツオープナーをそっと差し込みます。
▲髪の毛1本程度の隙間が理想的ですが、これくらいなら大丈夫でしょう。
▲樹脂性の接着剤(タミヤセメント)を使います。今回は「流し込みタイプ」という粘度が低くサラサラしたタイプを使います。
▲蓋に付いたハケで、接着剤をパーツの隙間に流し込みます。毛細管現象で接着剤がスーッと入れば成功です。
▲接着剤を流し込み終わりました。スーッと入らなくても、ふたのハケで塗りたくればOKです(笑
▲すぐさま指でパーツを圧着します。接着剤と溶けた樹脂が「むにゅっ」と出てきます。この状態で一晩おきます。
▲一晩おいた肩パーツがこちらです。むにゅがしっかり固まって硬くなっています。
▲はみ出したむにゅを削っていきます。金属ヤスリをやさしく動かして大まかに削ります。
▲ヤスった後はデザインナイフの背中で表面をカンナ掛けします。こちらもやさしく慎重にやります。
▲この通り、中央にパックリ空いていた合わせ目がキレイになりました!
▼白化させずに合わせ目を消すなら低粘度のタミヤセメント「流し込みタイプ」がオススメです。
2)段落ちモールド化
段落ちモールド化とは、合わせ目に沿って細いミゾを彫り込むことで、合わせ目をデザインの一部にしてしまうことをいいます。
言葉で説明するのは難しいので、実際にやってみましょう。
▲接着剤で圧着するとあとからハメられなくなる場所は、段落ちモールドにしてしまいましょう。※後ハメ加工をして接着する手もありますが
▲パーツの合わせ目に沿って、片側のパーツをデザインナイフの背中でカンナ掛けしていきます。
▲これがタガネで削るためのガイドラインになります。
▲つづいて0.3mmのタガネを使い、カンナ掛けで作ったガイドラインをなぞっていきます。
▲0.3mmで削った後は0.6mmのタガネで仕上げをします。力を入れずゆっくりタガネを動かしていきます。
▲毛羽立ちをスポンジヤスリで整え、合わせ目が段落ちモールドになりました。
▲同じようにヒザ下の合わせ目も段落ちモールドにしました。
▼0.3mm、0.6mmのスジボリカーバイトはピンバイスにセットして使います。
2-4.モールドの彫り直し
モールドやミゾを彫り直しておくとキレイに墨入れできるようになります。
効果が出るのは後になりますが、格段に見栄えが良くなるので、ぜひやっておきたい作業です。
▲モールドの彫り直しには先端が針状になっている「ケガキ針」を使います。
▲ミゾがある頭部パーツです。赤い線の部分を彫り込んで陰影を強調していきます。
▲力を入れず少しずつ罫書いていきます。気を抜くとつるっと滑って他の部分にキズが付いてしまいます。※ケガキ針を持つ手の指をパーツに押し当てて固定すると手振れしにくいです。
▲掘り込みが終わたのがこちらです。写真ではわかりにくいですがミゾが深くなっています。
▲続いて罫書いたミゾをデザインナイフの背中でなぞっていきます。彫り直した細いミゾに、角度をつけ別パーツ感を出すためです。
▲削り終わりました。なぞる前と比べ、別々のパーツが組み合わさったような雰囲気が出ています。
▲頬ダクトの細かいミゾも彫り込んでおきます。エアリアルはダクトのようなパーツが多いので、彫り込んでおくと効果的です。
▲彫り直しが終わった頭部を組み立ててみました。少しばかりくっきりしたような気がします。
▲続いて複雑な形状のボディパーツの掘り直しです。ミゾに針を添わせます。
▲罫書いた後をデザインナイフの背中でなぞり、別パーツ感を強調します。
▲ミゾが深くなりました。塗装した後のスミ入れが楽しみです。
▲すべてのミゾを彫り直しました。凹凸が多いパーツは陰影が強調されるので掘り直し甲斐があります。
▲凹凸の多い腕パーツもミゾというミゾを彫り直しておきましょう。
▲このようなモールドも、罫書き針を少しづつ動かして彫っておきます。
1)罫書き針の毛羽立ち対応
ケガキ針で彫ったミゾの淵は毛羽立ってしまいます。
ミゾの上からをヤスリで削り、毛羽立ちを整えましょう。
2)デザインナイフで別パーツ感を強調
前述しましたが、彫ったミゾの角をデザインナイフの背で削って角度を付けることで、パーツがわかれている感じが強調できます。おすすめの工作です。
▼モールドの彫り直しにはケガキ針が大活躍!1本持っておいて損はありません。
3.基本工作の完了
基本工作が終わった
エアリアルさん
まとめ
以上、HGガンダムエアリアルの基本工作紹介でした。
ポリキャップレスキットの宿命か、多くのパーツが「KPS※」でできており、柔らかくて毛羽立つのでゲート跡処理やヤスリがけがやりづらかった印象です。
ABSの代替としてバンダイが開発した新素材で、強化ポリスチレンの略です。
冗談のようですが、”Kyouka PolyStyrene”の頭文字をとってKPSだそうです。
※引用:ピクシブ百科事典
KPSは色々と物議を呼んでおり、ブログで物申している方もおられます。
KPSについて物申す!
毛羽立ちやすく加工しづらいので、筆者もKPSは好みではありません。
とはいえ、パーツ構成は秀逸で作りやすく、素晴らしいキットなのは間違いありません。
HGガンダムエアリアル、まだの方はぜひ作ってみてくださいね。
それでは、ステキな筆塗りライフを!
HG 1/144 ガンダムエアリアル
1,430円 2022年10月発売(公式サイト)
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